平成27年度研究成果報告書

 研究課題

  • 新学習指導要領の実施を踏まえた,学校全体での教育課程の編成,指導方法等の工夫改善に関する実践研究
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  • (3)グローバル社会や高度情報化社会などで活用される教科横断的な論理的思考や,それらを表現する力の育成を図るため,学校全体としての目標設定とそれに向けた各教科等における取組の連携を図るための教育課程の編成,指導方法等の工夫改善に関する実践研究

1 研究主題等

 研究のキーワード

  • 「論理的思考力の定義」,「教科の壁」,「3人組の授業研究ユニット」,「本校独自のパフォーマンス課題」,「授業改善のPDCAサイクル」「目標に準拠した評価」

 研究成果のポイント

  • ○本校生徒に身に付けさせるべき論理的思考力が明確になった。
  • ○教科が異なる教員3人のユニットで継続的に授業研究を進める仕組みづくりができた。
  • ○本校独自に定義したパフォーマンス課題及びルーブリックを2年間にわたって蓄積し,実際にそれを活用した授業を展開することができた。
  • ○教員が授業改善を進めるためのPDCAサイクルを,システムとして確立することができた。

(1)研究主題

  • 論理的思考力及び表現力の育成を図るための指導と評価の工夫改善に関する研究
  • ~パフォーマンス課題の設定とルーブリックの作成を通して~

(2)研究主題設定の理由

  •  本校では,平成23年度から「学びの共同体」の理念に基づき,共同的な学びを通して思考力・判断力・表現力の育成を図るための授業づくりを進めてきた。しかし,共同的に学ぶ授業を,生徒の論理的思考力の育成にどのようにつなげるのか,各教科における論理的思考力をどのように定義するのかについて,教職員全体では共有されていなかった。各教科における論理的思考力や表現力を育成する授業づくりを組織的且つ系統的に進めていきたいと考え,本研究主題を設定した。

(3)研究体制

  •  校長の指導の下,教務主任,総務主任,進路指導主事,各教科主任を構成メンバーとする「授業力向上プロジェクトチーム」を立ち上げた。その下に各教科会を位置付け,組織的な授業づくり体制を構築している。


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(4)2年間の主な取組


 平成26年度

4月 授業力向上プロジェクトチームの立ち上げ

6月 「庄原格致高校が考える『生徒に身に付けさせたい論理的思考力』とは?」の完成

  • 第1回校内研修会
  • ○これまでの取組の総括と,本研究主題設定の主旨を本校職員に対して説明した。

7月 前期公開研究授業及び第2回校内研修会

  • ○従来の指導スタイルによる授業を公開し,本校が抱えている課題を明らかにした。
  • ○共同研究者である広島大学大学院の吉田 成章准教授を招聘し,「論理的思考力を育てる授業づくりと評価活動」というテーマでご講演いただいた。
  • ○後期公開研究授業の授業者3人による授業研究ユニットの立ち上げ

8月 京都大学主催の「E-FORUM 2014」に,担当者2名を派遣

  • ○京都大学の西岡 加名恵教授が主催する教育フォーラムに参加した。
  • 第3回校内研修会
  • ○後期公開研究授業の授業者が作成したパフォーマンス課題を,校内で議論した。

10月 後期公開研究授業及び第4回校内研修会

  • ○試行的にパフォーマンス課題を活用した授業を実践した。その後,今後の方向性について議論した。

11月 相互授業観察週間

  • ○教科の枠を超えて3人1組のユニットを作り,相互に授業観察を行った。
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  • 第5回校内研修会
  • ○各教員がそれぞれのパフォーマンス課題を試作するにあたり,疑問や率直な悩みを,吉田 成章准教授を交えて議論した。

2月 研究紀要の作成に向け,本校独自の定義によるパフォーマンス課題を試作した。


 平成27年度

5月 第1回校内研修会

  • ○これまでの取組の総括と,本研究主題設定の主旨を本校職員に対して説明した。

6月 前期授業観察週間

  • ○全教員がパフォーマンス課題を活用した授業を実践し,3人組で論議した。

7月 前期公開研究授業及び第2回校内研修会

  • ○パフォーマンス課題を活用した授業を公開し,その有用性と問題点を全体で論議した。

9月 第3回校内研修会

  • ○後期授業観察週間に向け,新たに改善したパフォーマンス課題(ルーブリックの活用を追加)及び授業実施後の取組について研修した。

10月 相互授業観察週間

  • ○全教員がパフォーマンス課題及びルーブリックを活用した授業を実践し,3人組で論議した。

   後期公開研究授業及び第4回校内研修会

  • ○パフォーマンス課題及びルーブリックを活用した授業を実践した。その後,現段階での本校の授業評価システムを研修した。

11月 「格致『力』検定」の実施

  • ○これまでの取組の集大成として,地域に密着したテーマについて,ランダムに構成された6人組で2日間論議した上で,プレゼンテーションを行った。

12月 授業改善計画の取組

  • ○授業評価アンケートと授業観察における「事後協議シート」を分析し,全教員が授業改善計画を作成した。

2月 第5回校内研修会

  • ○2年間の取組の総括と,今後の取組の方向性について全体で研修した。

2 研究内容及び具体的な研究活動

(1)研究内容

  • ① 庄原格致高校が目指すべき「生徒に身に付けさせたい論理的思考力」の研究
  • ② 「パフォーマンス課題」の研究及び本校の現状に合わせたより良い課題作成の創意工夫
  • ③ 公開研究授業を通した実践及び校内研修体制の確立
  • ④ 授業評価に基づく,授業改善のPDCAサイクルの構築


(2)具体的な研究活動

  • ① 庄原格致高校が目指すべき「生徒に身に付けさせたい論理的思考力」の研究
  •  本校では,本事業で指定を受ける前から,生徒の論理的思考力を育成すべく様々な授業改善に取り組んできたが,生徒に身に付けさせたい論理的思考力が明確には定義されていなかった。 
  •  2年間の研究の出発点として,今なぜ生徒に論理的思考力が求められているのかを議論するとともに,本校として,生徒に身に付けさせたい論理的思考力を「筋道を立て,根拠を持って物事を考察し,それを明確に,自分の言葉で,他者に伝えることができる力」と定義した。さらに,例えば数学科では,「問題解決の過程で見出した着想や相互関係,方法,根拠などを,他者に説明し,意見交流できる力」と定義するなど,各教科において生徒に身に付けさせたい論理的思考力を具体化していった。
  • ② 「パフォーマンス課題」の研究及び本校の現状に合わせたより良い課題作成の創意工夫
  •  パフォーマンス課題を活用した授業展開の先行事例として,これまでにどのような課題が作成され,どのように授業が展開されているのかについて,様々な事例を共有しながら研修を重ねてきた。本研究では,パフォーマンス課題の一般的な定義に即して研究を推進するのではなく,その意義と効用を十分に理解した上で,どのような形が本校に適したものであるのかを明らかにし,生徒に論理的思考力を身に付けさせることを重視している。そのため,本校独自のパフォーマンス課題を開発すべく,共同研究者の吉田准教授と緊密に連携を取りながら研究を重ねた。
  • ③ 研究授業を通した実践及び校内研修体制の確立
  •  本研究は授業改善を中心に据えて進めていくものであり,実践なくして研究を推進することはできない。そのため,年間2回の公開研究授業を研究の軸として位置付け,実際にパフォーマンス課題を活用した授業を展開し,そこで明らかになった課題に基づいて具体的な議論を行った。
  •  授業改善を行おうとする際,本校で大きな課題となっていたのが「教科間の壁」である。各教科の特性を必要以上に意識することで教科横断的な議論が困難となり,学校全体として取り組むべき課題について議論できなかったことが,これまで授業改善の成果が現れなかった大きな要因である。そこで,どのような仕組みを作れば学校全体で授業改善の議論を深めることに最も有効なのかを模索した結果,「3人1組による授業研究ユニット」を考案した。教科の異なる教員3人で1つのユニットを作り,授業の事前協議から課題の作成,そして事後協議に至るまで全て3人で行うことで,より議論しやすい環境を作るよう工夫した。
  • ④ 授業評価のPDCAサイクルの構築
  •  教育における評価活動とは,大きく分けて「①教員が生徒の資質・能力を評価する」場合と,「②教員が自らの授業実践を評価する」場合があるが,本年度は②を重視して,評価活動を展開することとした。その際,パフォーマンス課題を活用した授業,3人組による事後協議及び相互評価,そして生徒の授業評価アンケートを有機的に連動させ,授業改善のPDCAサイクルを構築することを目標に議論を進めた。

(3)研究の成果と課題

  • ①成果
  •  教科横断的に論理的思考力の育成を図るため,教科の特性という枠組みを外し,全教職員で授業を改善すべきであるという教員自身の意識の向上が,本事業の最も大きな成果であろう。本校の課題と本校の生徒につけたい力を明確にして全教員で共有すること,「本校における」定義を大切にすること,教科の特性の枠組みを外すための「3人1組」の研究ユニットの構築などはその一端である。特に「課題」と「つけたい力」が共有されることで,課題解決に向け,この事業自体の是非も含めて自由な議論が行えた。さらには,昨年度の課題であった評価の扱いについても一定の整理を行い,教員が自分の授業を改善するための評価システムを構築することができた。
  •  また,生徒の変容も徐々に見え始めている。課題に対する正答だけではなく,自分自身の考えとその根拠を問われる機会が授業の中で増えたことにより,生徒自身が論理的思考力の伸長を実感していることが,授業評価アンケートによって明らかになった。授業後に実施した生徒の自己評価を見ても,ある程度筋の通った説明ができていることを実感していることが分かる。
  • ②課題
  •  パフォーマンス課題の定義とその有用性について教員全体の理解はある程度進んだものの, ルーブリックの内容及びその事前提示の手法については,研修会でも様々な意見が出て議論がまとまらず,今後の大きな課題となった。また,パフォーマンス課題活用の授業は年間2回とし,その授業を軸にした授業研究のシステムは整理したが,そこから明らかになった各課題をどのようにして日常の授業につなげていくのかを整理していくことも今後課題である。
  •  さらには,生徒の資質・能力をどのようにして適切に評価するのかということについて, ①論理的思考力を問うテスト問題の開発,②シラバスの改訂,③評定への総括の方法の3つを今後取組むべき大きな課題と捉えている。
  • 次年度へ向けての取組
  •  上記の課題を踏まえ,「ルーブリックの改善及び事前提示の手法」,「生徒の資質・能力を評価するシステム」という2つのテーマが,次年度の大きな取組の柱となる。特に,生徒の資質・能力を,自信を持って評価するためには,シラバスや通知表の改訂にも着手する必要があり,そういった意味では本事業はまだ始まったばかりである。

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